ぬいぐるみ用の軍帽は、クラウン(上面)・サイドバンド(胴部)・つば(バイザー)の3パーツ構成で作るのが基本です。
素材や装飾を変えるだけで、将校帽・フィールドキャップ・ベレー風など多彩なデザインを再現できます。
目次
用意する材料
基本素材
- フェルト:縫い代処理が不要で扱いやすい。初心者向け。
- 薄手の布(ツイルやブロード)+接着芯:リアルに仕上げたい方向け。
- 糸・針・布用ボンド・ハサミ
補強材
- プラ板(0.3mm程度)、厚手接着芯、または帽体用バッキラム
→ 型崩れ防止に使用。厚紙よりも耐久性が高い。
装飾素材(お好みで)
- 金色コード、ブレード、ボタン風ビーズ
- 小さな刺繍章、星型チャーム
- 合皮または黒フェルト(つば用)
寸法と型紙の作り方
- ぬいぐるみの頭囲(C)をメジャーで測定。
- クラウン直径(D)を計算
- フェルト(伸びあり)→
D = (C - 0.2~0.5) ÷ π - 伸びない布 →
D = C ÷ π
- フェルト(伸びあり)→
- サイドバンド長さ(L)
- 重ね止め方式 →
L = C + 0.5 - 縫い合わせ方式 →
L = C + 1.0
- 重ね止め方式 →
- 帽子の高さ(H):クラウン直径の約40~50%がバランス良。
- つば(バイザー)
- 前出し(奥行)=クラウン直径の25~35%
- 幅=クラウン外周の40~55%
型紙には「前・後・左右」の4分割ノッチ(印)を付けておくと、縫製が歪みにくくなります。
生地の裁断と補強
- 型紙に沿ってクラウン1枚・サイドバンド1枚・つば1枚をカット。
- サイドバンド裏に接着芯または薄いプラ板を貼り、形をキープ。
- つば部分にはプラ板や牛乳パックを挟んでサンドすれば、反りが安定。
縫い合わせ手順
- サイドバンドを輪にする
両端を0.5cm重ねて縫うか、縫い代方式で突き合わせる。 - つばを仮止め
サイドバンド下端の外側に、つばを内側から挟むように配置し仮縫い。 - クラウンを縫い合わせる
ノッチを合わせながら、サイドバンド上端とクラウンをまつり縫い。
波打ちを防ぐため、上円周に0.3~0.5cm間隔の浅い切り込み(クリップ)を入れるとよい。 - 内側の仕上げ
帽子内側に1周、バイアステープや細リボンを貼るとフォルムが安定。
飾り付けと仕上げ
- 前飾り:金リボンや刺繍糸でバンド状の装飾。
- 中央マーク:星・錨・翼などのチャームを縫い付ける。
- 両端の金ボタン風装飾:ビーズを縫い付けるか、刺繍で代替。
- つば縁のパイピング:細い金紐をぐるりと縫うと格が上がる。
※ 子どもが触れる可能性がある場合、ビーズ類は接着+縫い留めの二重固定を推奨。
ぬいぐるみへの固定方法
- 内側に輪ゴムを縫い付ける:伸縮で頭にフィット。
- 後頭部に平ゴムのトンネルを作り、調整できるようにする。
- カチューシャ固定:裏側に2点縫い留めると安定感抜群。
- マジックテープ(面ファスナー)をぬいぐるみの頭側に貼っても良い。
デザイン別アレンジ例
| タイプ | 特徴 | 寸法のコツ |
|---|---|---|
| 制帽(将校帽) | 高さ低め、つば広め、金装飾多め | H ≒ Dの35〜45%、つば前出し30〜35% |
| フィールドキャップ | 実用的、軽い印象 | H ≒ Dの45〜55%、つば短め |
| ベレー風ミリタリー | 柔らかい丸型 | クラウンをD+3〜6%にして落とし込み |
よりリアルに仕上げるコツ
- フェルト帽をアイロンスチームで軽く整形(芯材の耐熱確認を忘れずに)。
- 合皮つばの端はボンドやグルーを薄く塗って毛羽止め。
- 装飾コードやブレードの端は、折り返してほつれ止めを行う。
安全・デザイン上の注意
- 金具やボタンを使用する場合、誤飲防止のため必ず接着+縫い留め。
- 歴史的軍装を再現する際は、特定の紋章や政治的シンボルは避けること。
星章・翼章など汎用モチーフを使うと安全かつ美しい。
仕上がりチェックリスト
- 頭囲にぴったりフィットしているか
- クラウンとバンドの縫い目が均一か
- つばの中心が正面を向いているか
- 装飾がしっかり固定されているか
まとめ
ぬいぐるみ用軍帽は、小さくても構造は本格的。
上部・帯・つばの3パーツ構成を意識し、寸法計算とノッチ合わせを丁寧に行えば、驚くほど精密に仕上がります。
初心者はフェルト+手縫いで、上級者は布+接着芯+装飾で。
どんなぬいぐるみにも似合う、世界にひとつだけの軍帽を作ってみてください。
以上、ぬいぐるみ用の軍帽の作り方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

