ぬいぐるみ用のズボンを編む際は、人形の体型に合わせた設計が重要です。
人間用の小型版として単純に縮小するよりも、ぬいぐるみ特有の体型に合わせて編み方を調整すると、着せ替えやすく、美しく仕上がります。
ここでは、棒針編みとかぎ針編みの両方に対応した、正確かつ実践的な方法を解説します。
目次
採寸と設計準備
まずは、ぬいぐるみの体型をしっかり測りましょう。
採寸が正確であるほど、仕上がりのフィット感が良くなります。
| 測る箇所 | 説明 | ポイント |
|---|---|---|
| ウエスト | 一番細い部分を一周 | 少しゆとりを持たせる |
| ヒップ | お尻の一番出ている部分 | 座ったときの形を意識 |
| 股上 | ウエストから股までの長さ | 後ろ側を少し長めにすると自然 |
| 股下 | 股から裾までの長さ | 好みの丈に調整 |
| 太もも周り | 股のすぐ下を一周 | 各脚の作り目計算に使用 |
これらをメモしておき、ゲージ計測時に反映させます。
材料と道具
糸の選び方
- アクリル毛糸:軽くて扱いやすく、洗濯にも強い。
- コットン糸:滑らかで夏服のような印象に。
- 中細〜並太程度の太さが、ぬいぐるみにはちょうど良い。
道具
- 棒針:4〜6号(約3.3〜3.9mm)
- かぎ針:4/0〜5/0号(約2.5〜3.0mm)
- とじ針、はさみ、ゴムまたは紐
棒針編みで作るズボン
棒針編みでは「上から下へ輪で編む」方法が最も安定しており、ぬいぐるみの体に沿った形に仕上がります。
手順
ウエスト部分
- ゲージを取り、目数を計算します。
作り目=ウエスト(cm) × 目/cm × 1.03(少しゆとりを加える) - 1×1または2×2のゴム編みで約2cm。
- ゴムを通す場合は、折り返して二重仕立てにし、後でゴムを挿入できるようにします。
股上からヒップ
- メリヤス編みで股位置まで編み進めます。
- お尻を自然に見せるため、後ろ身頃に引き返し編みを2〜4回入れます。
- 股部分では2〜6目のガゼット(まち)を作って立体感を出します。
脚の分割
- 目を左右に分け、それぞれの脚を輪で編みます。
- 太もも周りに合わせて必要なら減目し、股下寸法まで編みます。
- 裾を1〜1.5cmのゴム編みで仕上げます。
仕上げ
- 糸端を裏に処理し、必要に応じてゴムを通します。
- スチームアイロンで軽く整形(アクリル糸は直接押しつけない)。
かぎ針編みで作るズボン
かぎ針編みは小型ぬいぐるみに特に向いており、形を崩さず簡単に仕上げられます。
手順
- 鎖編みでウエスト分の長さを作り、輪にする。
- 細編みまたは長編みで筒状に編み進める。
- 股位置で前後を分け、2〜6目の鎖編みでガゼットを作る。
- 各脚を輪にして股下分編む。
- 裾を細編みやピコット編みで縁取り、ウエストにゴムまたは紐を通す。
立体感とフィットを高めるポイント
- ヒップ部分をふっくらさせるには、背面に引き返し編みを入れる。
- 股ぐりを滑らかにするため、ガゼットを2〜6目入れる。
- ウエストに伸縮性を持たせるため、リブ+ゴム通しの併用が最も安定。
デザインアレンジ例
| デザイン | 特徴 | 編み方の工夫 |
|---|---|---|
| ショートパンツ | 夏服風に可愛い | 股下を短くしてピコット縁 |
| ジーンズ風 | カジュアルな印象 | 紺糸+白糸で疑似ステッチ |
| サロペット | 胸当て付き | ウエストから肩紐を編み足す |
| パジャマ風 | ゆったり感 | 柔らかいアクリル糸+ゆるめゲージ |
実用のコツ
- 小さなぬいぐるみほど1目・1段の誤差が大きく出ます。必ず試し編みを。
- ウエスト裏に透明の薄ゴムを数か所で留めておくと回転を防げます。
- 着脱を容易にするなら、片側にスナップボタンや面ファスナーをつけても良いでしょう。
まとめ
ぬいぐるみのズボンは、小さくても本格的な服作りの要素が詰まっています。
最初はシンプルなメリヤス編みで形を覚え、慣れてきたら模様編み・装飾などを加えると完成度が上がります。
重要なのは、「ゲージを取ってから設計すること」と、「立体のバランスを意識すること」。
以上、ぬいぐるみ用のズボンの編み方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

