「ぬいぐるみという言葉はどこから生まれたの?」
「なぜぬいぐるみと呼ぶの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
ぬいぐるみは漢字で「縫い包み」と書き、日本語の「縫う」と「包む(くるむ)」に関係する言葉です。
実は、昔は現在とは異なる意味で使われていたこともあります。
この記事では、ぬいぐるみの語源や「ぐるみ」の意味、言葉が使われ始めた時期、昔と現在での意味の違いなどをわかりやすく解説します。
ぬいぐるみの語源は「縫い包み」
「ぬいぐるみ」という言葉は、漢字で「縫い包み」と表記します。
その語源は、日本語の「縫う」と「包む(くるむ)」に関係しています。
布などを縫い合わせ、その中に綿などの詰め物を入れて包み込むように形を作ることから、「ぬいぐるみ」という言葉が生まれたと考えられています。
つまり、「ぬいぐるみ」という名称には、布を縫い合わせて中に詰め物を入れるという、ぬいぐるみの基本的な作り方がそのまま表れているのです。
「縫い」には布を縫い合わせる意味がある
「ぬいぐるみ」の「ぬい」は、動詞の「縫う」に由来します。
ぬいぐるみは一般的に、複数の布を型紙に合わせて裁断し、それらを糸で縫い合わせて立体的な形を作ります。
そのため、「縫う」という動作が名称の一部になったと考えると分かりやすいでしょう。
「ぐるみ」は「くるむ」に関係する
「ぐるみ」は、「包む(くるむ)」に関係する語です。
「くるむ」には、物の周囲を布などで覆ったり、包み込んだりする意味があります。
ぬいぐるみも、布で綿などの詰め物を包み込むようにして作られています。
そのため、「縫う」と「くるむ」に関係する言葉が組み合わさって「ぬいぐるみ」という名称になったと説明できます。
なお、「包」という漢字を通常「ぐるみ」と読むわけではありません。
「縫い包み」という言葉全体で「ぬいぐるみ」と読む点を覚えておくとよいでしょう。
「ぬいぐるみ」はいつから使われている?
「ぬいぐるみ」という言葉は、比較的古い時代から日本で使われてきました。
ただし、昔から現在とまったく同じ意味で使われていたわけではありません。
現在では「布を縫い合わせて綿などを詰め、人や動物、キャラクターなどの形にしたもの」という意味が一般的ですが、かつては演劇に関係する意味でも使われていました。
江戸時代には演劇に関係する用例がある
「ぬいぐるみ」にあたる言葉は、江戸時代の文献にも確認できます。
『精選版 日本国語大辞典』には、演劇に関係する意味の「ぬいくるみ」の用例として1703年の文献が掲載されています。
当時の「ぬいぐるみ」は、現在のような玩具だけを意味する言葉ではありませんでした。
歌舞伎や芝居などで、役者が動物や怪物などに扮する際に使用する衣装を指す用法もありました。
現在の「着ぐるみ」に近いものを「ぬいぐるみ」と呼んでいたわけです。
現在の玩具に近い意味は近代にも確認できる
現在一般的な「綿などを詰めて人や動物の形にしたもの」という意味については、近代の文献にも用例が確認されています。
『精選版 日本国語大辞典』では、現在の玩具に近い意味の「縫ひぐるみ」について1928年の用例が掲載されています。
そのため、「ぬいぐるみ」という言葉そのものには長い歴史がありますが、時代によって指すものや使われ方が変化してきたと考えるのが適切です。
昔の「ぬいぐるみ」は玩具だけを意味していなかった
現代では「ぬいぐるみ」と聞くと、クマやウサギ、キャラクターなどを布と綿で作ったものを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、歴史的には「ぬいぐるみ」という言葉には複数の意味がありました。
演劇で使用する衣装も「ぬいぐるみ」と呼ばれた
代表的なのが、演劇で使用される衣装です。
役者が動物などに扮するために着用する衣装についても、「ぬいぐるみ」という言葉が使われていました。
現在では、人が中に入ってキャラクターや動物などを演じる衣装は「着ぐるみ」と呼ぶのが一般的です。
一方で、国語辞典には現在でも「ぬいぐるみ」の意味の一つとして、演劇などで使用する動物の形をした衣装に関する説明が掲載されています。
「ぬいぐるみ」の意味は時代とともに変化した
言葉は時代によって意味や使われ方が変化することがあります。
「ぬいぐるみ」もその一つです。
古くは演劇関係のものなどを表す場合にも使われていましたが、現在では綿などを詰めた玩具やキャラクターグッズを指す意味が中心になっています。
「ぬいぐるみ」という言葉の歴史を知ると、現在の意味だけでは分からない日本語の変化も見えてきます。
ぬいぐるみと着ぐるみの関係
「ぬいぐるみ」とよく似た言葉に「着ぐるみ」があります。
どちらにも「ぐるみ」が含まれていますが、現在では基本的に異なるものを指します。
ぬいぐるみは綿などを詰めて作るもの
現在一般的に「ぬいぐるみ」と呼ばれるものは、布などを縫い合わせ、その中に綿などの詰め物を入れて立体的に作ったものです。
動物だけでなく、人型のキャラクターや架空の生き物、食べ物など、さまざまなモチーフのぬいぐるみがあります。
着ぐるみは人が中に入って着用するもの
「着ぐるみ」は、人が中に入って着用する衣装を指すのが一般的です。
イベントやテーマパークなどで見かけるキャラクターの衣装が代表例です。
現在では「ぬいぐるみ」と「着ぐるみ」は明確に区別されることが多いものの、歴史的な「ぬいぐるみ」には、人が着用する演劇用衣装を指す用法もありました。
そのため、両者はまったく無関係な言葉として考えるより、それぞれの言葉の歴史や使われ方を分けて理解するのがよいでしょう。
「ぬいぐるみ」は英語が語源ではない
「ぬいぐるみ」という言葉は、英語などの外国語を日本語化した外来語ではありません。
日本語の「縫う」や「包む(くるむ)」に関係して成立した言葉です。
英語では「stuffed animal」などと表現する
日本語の「ぬいぐるみ」に相当する英語には、次のような表現があります。
- stuffed animal
- stuffed toy
- soft toy
- plush toy
- plush
どの表現が自然かは、地域やぬいぐるみの種類、文脈などによって異なります。
たとえば「stuffed animal」は、クマや犬、ウサギなど動物型のぬいぐるみを表すときによく使われる表現です。
一方、「plush toy」や「plush」は、キャラクターなどを含めた柔らかいぬいぐるみを表す場合にも使われます。
これらの英語表現と日本語の「ぬいぐるみ」は意味として対応するものの、語源的につながっているわけではありません。
現代ではぬいぐるみを「ぬい」と呼ぶこともある
近年では、「ぬいぐるみ」を省略して「ぬい」と呼ぶ表現も広く使われています。
特にアニメやゲーム、アイドルなどのファン文化では、キャラクターや推しをモチーフにしたぬいぐるみに関連する言葉が数多く生まれています。
「推しぬい」「ぬい撮り」「ぬい服」などの言葉がある
代表的な言葉には「推しぬい」「ぬい撮り」「ぬい服」などがあります。
「推しぬい」は、自分が応援しているキャラクターや人物などをモチーフにしたぬいぐるみを指す表現です。
「ぬい撮り」は、ぬいぐるみを旅行先やカフェなどに連れて行き、風景や料理などと一緒に写真を撮る楽しみ方を指します。
また、「ぬい服」はぬいぐるみに着せるための小さな洋服です。
このように「ぬいぐるみ」という言葉から、現代の文化に合わせて新しい言葉も次々と生まれています。
ぬいぐるみの語源についてよくある疑問
「ぬいぐるみ」は漢字でどう書く?
「ぬいぐるみ」は、漢字では「縫い包み」などと表記されます。
ただし、現在の日常的な文章では「ぬいぐるみ」とひらがなで表記するのが一般的です。
「ぬいぐるみ」の「ぐるみ」にはどんな意味がある?
「ぐるみ」は「くるむ」に関係する語とされています。
「くるむ」には、布などで物を覆ったり包んだりする意味があります。
ぬいぐるみは布を縫い合わせて綿などの中身を包み込むように作るため、その特徴が名称にも表れていると考えられます。
ぬいぐるみは日本で生まれたもの?
「ぬいぐるみ」という言葉は日本語ですが、布を縫い合わせて詰め物をした人形や動物型の玩具そのものが日本だけで生まれたという意味ではありません。
海外にも古くから布や詰め物を使った人形・玩具が存在します。
そのため、「ぬいぐるみという言葉の語源」と「ぬいぐるみという物の起源」は分けて考える必要があります。
ぬいぐるみの語源まとめ
「ぬいぐるみ」は漢字で「縫い包み」と表記され、日本語の「縫う」と「包む(くるむ)」に関係する言葉です。
布を縫い合わせ、その中に綿などを入れて包み込むように作る特徴が、名称そのものに表れています。
また、「ぬいぐるみ」という言葉には長い歴史があり、江戸時代には演劇に関係する用法が確認されています。
現在一般的な綿などを詰めた玩具という意味だけでなく、人が動物などに扮するための衣装を指す場合もありました。
現代では玩具やキャラクターグッズを意味する言葉として定着し、さらに「ぬい」「推しぬい」「ぬい撮り」「ぬい服」といった新しい表現も生まれています。
「ぬいぐるみ」という身近な言葉には、布を「縫い」、中身を「くるむ」という作り方と、時代とともに変化してきた日本語の歴史が込められているのです。
以上、ぬいぐるみの語源についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

